Claudeを仕事と学習に使う
Claudeへの依頼を業務仕様に変える:目的・制約・合格条件の書き方
「いい感じにまとめて」では、文章が流暢でも仕事が終わるとは限りません。まず決めるのはモデルへの言い回しではなく、誰が何を判断するための成果物かです。ここでは返金問い合わせの返信案を例に、実務で使える依頼仕様を組み立てます。
編集・運営:株式会社ノースネスト · AI支援の学習解説
公開: · 更新: · 約5分(目安)
この記事の目的
依頼の目的、使える資料、禁止事項、確認方法を一枚に整理できる。
こんな方へ
Claudeで日常業務の文章や資料を作り始めた方。
成果物ではなく利用場面から始める
「返信メールを書く」と「担当者が規約との一致を確認できる返信案を書く」では必要な情報が違います。後者なら、返信本文に加えて根拠の規約箇所と未確認事項が必要です。読者、使用場面、次の操作を先に書くと、文体の好みが業務上の正しさを上書きしにくくなります。
依頼の時点で成果物を自動送信するのか、人が承認するのかも区別します。下書きの生成に成功しても、送信の権限まで与えたことにはなりません。実行を伴う処理は別の責任として設計してください。
制約を優先順位付きで渡す
制約は全部を「重要」にせず、事実、業務ルール、表現の順に分けます。返金対象か不明なのに、親切な文章にするために返金を約束するのは失敗です。「資料にない例外は作らない」「不明点は確認事項に分ける」を、文字数や敬語より上位の条件にします。
一方で、過剰な制約は矛盾を生みます。「詳細に説明」「三行以内」「全条件を列挙」を同時に求めず、短い本文と担当者向けの根拠欄を分ける方が目的に合います。
合格条件を出力の外に置く
Claudeに自己採点を頼むだけでは、同じ見落としを繰り返す可能性があります。規約にない約束の有無、必要な確認事項の有無、個人情報の混入を、人や決定的なチェックで確認する項目として定めます。読みやすさと事実の一致を一つの点数に潰さないことが大切です。
仕様を試す三つの反実仮想
返金の例なら、購入から7日、20日、購入日不明という三つの架空入力を用意します。同じ丁寧な返信が返ることを成功とせず、条件によって判断が変わるかを確認します。常に承認する仕組みだけでなく、常に保留する仕組みも、簡単な安全確認を通ってしまうことがあります。入力を変えたときに変わるべき出力を先に書くと、この両方を検出できます。
確認では、必須の事実が揃っているか、不要な質問を増やしていないか、返信を実際に送る前に誰が確認するかを分けます。モデルへ追加指示を出す前に、購入日の入力欄そのものが欠けていないかも調べます。毎回同じ確認質問が必要なら、プロンプトの問題ではなく業務の入口の問題かもしれません。
そのまま使える依頼書は、例外の扱いまで書く
以下の依頼書は、購入後14日以内だけを対象とする架空の社内ルールで作った練習用です。実際の返金規約や法的な条件を示しません。購入からの日数は説明用の整数として入力済みとし、実務で必要な日付、時区、例外条件は別に定義してください。資料の条件が曖昧なまま、モデルに計算の前提まで補わせないことが要点です。
指示には、利用者へ見せる返信と担当者だけが見る確認欄を分けて書きます。根拠の規約番号や内部の識別子を、そのまま顧客向け本文へ混ぜる必要はありません。下書きを保存する範囲、送信前に確認する担当、情報が不足した際の戻り先まで決めると、文章の生成後にも仕事を引き継げます。
境界の前後と未入力で、合格条件の穴を探す
説明用の判定表では、経過日数13と14は期間条件を満たし、15は満たさず、未入力は判断を保留します。ただし期間条件を満たすことと返金の実行承認は別です。「対象候補として担当者へ回す」を正解にするなら、モデルが勝手に処理済みと説明しないことも確認条件へ入れます。
この表は期待する判断を事前に決めるための教材で、Claudeへ実際に送信した試験結果ではありません。自分の依頼へ置き換えたら、四つの入力に対する出力を別々に保存し、必須事項、禁止した断定、承認待ちの状態を人が読み合わせます。失敗した条件を残してから依頼を修正すると、丁寧さだけを改善して判断を壊す変更を見つけやすくなります。
具体例で考える
練習用の架空規約R-1は「経過日数が14以下なら期間条件を満たす」。経過日数は確認済みの整数で、返金の送信・実行は別担当の承認が必要です。
【Claudeへ渡す依頼書の例】
目的:担当者が確認できる返信の下書きを作る。
入力:問い合わせ本文、規約R-1、確認済みの経過日数。
優先:資料の事実 → 規約条件 → 丁寧な表現。
禁止:経過日数の推測、例外規約の創作、返金済みの断定、送信。
不足時:必要な項目だけを確認し、可否を保留する。
出力:顧客向け下書き/担当者向け根拠/未確認事項/承認待ち状態。
【事前に決める期待値。モデルの実測ではない】
13日:期間条件を満たす候補。担当者確認へ。
14日:境界を含むため候補。担当者確認へ。
15日:この規約の期間条件は満たさない。架空の例外を足さない。
不明:経過日数を確認。返金可否を断定しない。「常に保留する」と禁止事項は守れますが、情報が揃った13日や14日でも仕事が進みません。一方、期間条件を満たしただけで「返金しました」と出すと、下書きと実行の境界を越えます。事実に応じて判断を変え、承認待ちを維持することの両方を確認します。
確認課題と合格の目安
自分の業務を一つ選び、「利用者・次の判断・資料・禁止事項・確認方法」の五項目で依頼を作ってください。
- 資料が不足した場合の扱いを書ける。
- 業務上の正しさと文章の好みを別々に確認できる。
- 承認が必要な操作と、下書き作成を区別できる。